ポジティブ感情とネガティブ感情の最適なバランスはある?
2021/10/04
1998年、当時全米心理学会会長であったペンシルベニア大学大学院教授のマーティンセリグマンが提唱したポジティブ心理学は、これまでの心理学(病理的療法:欠陥、疾患、問題、メンタルヘルス不調、患者、治療、処置等)からこれからの心理学(人生を最も価値あるものにする学問、つまり人がいまよりも幸福になるにはどうすれば良いか)を追求した学問です。
このポジティブ心理学の研究領域の中で最も研究が集中的に行われている領域の一つにポジティブ感情 があり、わたしたちが感じる様々な感情について理解を助けてれ、ポジティブ感情の高め方を習得することができます。
今回は、ポジティブ感情にフォーカスして様々な観点からご紹介していきます。
ポジティブ感情・ネガティブ感情とは
マーティン・セリグマン教授が認めるポジティブ感情の研究者であるノースカロライナ大学のバーバラフレドリクソン教授の研究によると、ポジィティブ感情は、「喜び」、「感謝」、「やすらぎ」、「興味」、「希望」、「誇り」、「愉快」、「鼓舞」、「畏敬」、「愛」の10種類があると発表しています。
フレドリクソン教授が提唱している拡張形成理論によると、ポジティブ感情は、可能な選択肢を増やし思慮深く創造的に考えの幅を広げてくれることが分かります。
また、ネガティブ感情には、「怒り」、「恐れ」、「不安」、「悲しみ」、「失望」、「羞恥心」、「罪悪感」があり、ネガティブ感情は、闘争逃走反応というわたしたちの行動の幅を狭める選択をすることに有効ですが、反面ネガティブ感情を多用することによって、わたしたちの行動範囲を自ら狭めてしまうことにもなります。
ポジティブ感情とネガティブ感情は測定することができる
わたしたちが抱くポジティブ感情とネガティブ感情を測ることはできるのか、答えはできます。
これらを解決する感情尺度として、ポジティブ・ネガティブ感情スケジュール (Positive andNegative Affect Schedule:PANAS)が有効です。
PANASは、1988年にワトソン達が作り出したポジティブ感情とネガティブ感情の2因子構造です。
自分のポジティブ感情とネガティブ感情を測る尺度としてひとつの目安となるツールで、20項目の質問を答えることによって、ポジティブ感情とネガティブ感情の割合を抽出し、安定した信頼性と妥当性を与えてくれます。
ポジティブ感情とネガティブ感情の最適なバランスは?
フレドリクソン教授はマーシャル・ロサダとの共同研究を実施し、ポジティブ感情とネガティブ感情の黄金律を3対1としました(ポジティブな相互作用とネガティブな相互作用の対比:2.9013:1)。
しかし、数年前に他の心理学者より指摘を受け、フレドリクソン教授は間違いを認め、ポジティブ感情とネガティブ感情の比率は1対Ⅰと訂正しています。
また、ロバート・シュワルツ博士の研究では、幸福な人は4:1、普通の人は約2:1、うつ病の人…1:1以下と公表しています。
ペンシルバニア大学ウォールトンスクールのシガル・バーセイド教授の研究では、5人のグループに上機嫌または不機嫌な人がいるだけでグループの雰囲気が変わるとも発表しています。
研究者によって比率はまちまちで統一されていませんが、3対1の割合でポジティブ感情をたくさん持つことは良いですし、3対1の方がわたしたちにはしっくりきますよね。
いかがでしたでしょうか?
今回は、ポジティブ感情とネガティブ感情についてご紹介しました。
ポジティブ感情を高めることはわたしたちにとってより良いものをたくさんもたらせてくれることには変わりはないですよね。
ポジティブ感情を高めることを意識していき、幸せなひとづくりをしていきましょう。